Nissan Heritage Car Collection
    REPORT from NTC


技能五輪のスキルと若き情熱で蘇った1937年式ニッサンバン80型

戦後まで活躍した三越の商品搬送車
昭和13年(1938)に発売された日産初の大型車「ニッサン」は、その後のニッサンブランドのルーツとなった初号モデルです。同モデルには、乗用車(70型)のほか、バン(80型)とバス(90型)があり、シリーズ合計で5,500台が生産されました。
現在、日産自動車には、1938年式の乗用車と1937年式のバンが記念車として永久保存されています。バンは1937年式の80型で、戦前から戦後の昭和40年(1965)頃まで、三越が商品の納品などに使用していたもので、大変長い期間活躍した貴重な車両です。
使用されていた当時の状態で保存されていましたが、塗装や一部外板部分の傷みが目立つようになったため、本格的な修復作業を行うこととなりました。




時を超えて伝わるクルマづくりの情熱
修復作業は、神奈川県厚木市にある日産テクニカルセンターの生産技術本部試作課で行われましたが、当時の資料が少ないうえに、本業の合間をみての作業となり、2年3ヵ月の難事業となりました。
その間、クルマづくりの技能の伝承という意味を兼ね、技能オリンピックで優秀な成績を収めたベテラン技能員が指導やアドバイスに当たるなどして作業を支援、2002年10月に完全な姿に修復され、内輪の披露会が行われました。
当日は、ニッサン車誕生当時に宣伝担当課長だった元米国日産社長片山豊氏も訪れ、修復作業で蘇ったバンを前に発売当時のエピソードや修復作業の苦労話を交歓したり、一緒に記念写真を撮るなど感慨深げなご様子でした。
プロジェクトのまとめ役を務めた試作課・佐藤昇課長によれば、「一番苦労したのはエンジンでした。外部の旧車愛好家の方のご好意で提供いただいたエンジンなども使わせていただき数基のエンジンから完全な1基を組み上げましたが、エンジンに火を入れた日の感激は、スタッフ全員、一生忘れないでしょう。機械も素材も不自由だった戦前に自動車を量産することは、大変な情熱を必要としたのではないでしょうか。大いに学ぶべきものがありました」ということでした。




ニッサン バス(90型)が日本自動車博物館(石川県小松市)に展示されています
最先端のセミキャブオーバースタイルとパワフルな6気筒エンジンが好評だったニッサン車にはバス(90型)もありました。残念ながら日産自動車の記念車にはありませんが、石川県小松市にある日本自動車博物館には展示されています。

ニッサン・バス(90型)主要諸元
全   長 4,699mm(12BS) 5,512mm(12BL)
全   幅 単輪 1,905mm 複輪 2,032mm
ホイールベース 2,641mm(12BS) 3,251mm(12BL)
最低地上高 220mm(32インチ×6インチ-6PRタイヤ)
車 両 重 量 5,250kg
エ ン ジ ン AT型(直6、3,670cc・63kW=85ps)




商用車コーナーに展示されているニッサンバス
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